
主治医制や複数主治医制といった病棟対応の体制に関する医師の現状や考え方は、診療科によってどのように変わってくるのでしょうか?
2019年6月~7月にかけて実施した主治医制に関する医師アンケート(有効回答:1,883名)では、現状として当直医制で勤務している医師が53%と最も多く、理想の体制としてはチーム主治医制(41%)、あるいは当直医制(40%)という回答が多いという結果となりました。
本稿では、上記のアンケートについて診療科別で比較した結果について検証していきます。
<前提:本調査における病棟対応の体制の分類>
体制の分類 | 体制の説明(詳細) |
---|---|
主治医制 | 休日や夜間を含め何かあれば主治医が対応 |
当直医制 | 主治医は1人だが、休日や夜間は当直医が対応 |
複数主治医制 | スタッフ医師は1人であとは初期・後期研修医 |
チーム主治医制 | スタッフ医師が複数おり、完全交代制 |
目次
- 1. 現在の病棟対応の体制―救急科は現状で6割がチーム主治医制
- 2. 理想とする病棟対応の体制―精神科で複数主治医制は不向き?
- 3. 【自由回答】現在の病棟対応の体制で感じているメリット・デメリット
- 3-1. 一般内科
- 3-2. 消化器内科
- 3-3. 呼吸器内科
- 3-4. 循環器内科
- 3-5 腎臓内科
- 3-6. 神経内科
- 3-7. 内分泌・糖尿病・代謝内科
- 3-8. 一般外科
- 3-9. 消化器外科
- 3-10. 脳神経外科
- 3-11. 泌尿器科
- 3-12. 整形外科
- 3-13. 形成外科
- 3-14. 眼科
- 3-15. 皮膚科
- 3-16. 耳鼻咽喉科
- 3-17. 精神科
- 3-18. 小児科
- 3-19. 産婦人科
- 3-20. 麻酔科
- 3-21. 救命救急
現在の病棟対応の体制―救急科は現状で6割がチーム主治医制
診療科別での現在の病棟対応の体制に関するアンケート結果は下表のようになっています。
当直医制が81%を占める精神科をはじめ、多くの診療科では当直医制の割合が最も大きくなっています。一方、救命救急ではチーム主治医制となっている割合が60%と、他科に比べて群を抜いて大きくなっています。
救急医療における勤務医の交代制の普及は日本救急医学会としても積極的に進めており、同学会が紹介する「救急医だから出来る10の事」の1つにも「シフトワーク」が挙げられている[1]ため、上表のような結果になっていることが考えられます。
理想とする病棟対応の体制―精神科で複数主治医制は不向き?
診療科別での、自身が業務する上での理想の病棟対応の体制に関するアンケート結果は、下表のようになっています。
全診療科を通じて、当直医制もしくはチーム主治医制を理想とする回答が多い状況となっています。内科系・外科系の診療科で大まかにみると、内科系では当直医制という回答が多い傾向にあるのに対して、外科系ではチーム主治医制を理想とする回答が多く見られる傾向にあります。
チーム主治医制を理想とする回答が最も少なかったのは精神科で、当直医制という回答が56%を占めるのに対し、チーム主治医制と回答したのは25%のみとなっています。
アンケート内の自由回答では、「精神科医療では主治医と患者との関係が重要」「主治医は1人の方が精神科はうまくいく」といった回答も見られました。精神科では、複数主治医制やチーム主治医制が合わない状況になっていることが多いのかもしれません。
【自由回答】現在の病棟対応の体制で感じているメリット・デメリット
各診療科の医師に、現在の病棟対応の体制で感じているメリット・デメリットについて自由回答を募ったところ、以下のような回答(一部)がありました。
一般内科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
50代男性・主治医制 | 知らないうちに過誤が生じて責任転嫁される恐れが少ない | 生命に関わる疾患は主治医でなくても内科医の責任とされる |
40代女性・主治医制 | 患者のことがよくわかっている。 | いつ呼ばれるかわからない。 |
40代男性・当直医制 | 病院から離れると、呼ばれることがない。 | 平日がなかなか休めない。 |
40代男性・当直医制 | 基本的に夜間に呼ばれる事はない | 自分が主治医でないと、家族にどの様な説明をしているかが不明な時がある。 |
50代男性・当直医制 | 休日の予定が立てやすい。 | 当直医に主治医の方針と異なる家族へのICや治療を行われてしまうことがる。 |
40代男性・当直医制 | 当直時間帯は、当直医に任せてもいいし、自ら出向いて診てもいい。 | 当直医には対応が難しい場合でも、来ない医師がいる。、 |
40代男性・当直医制 | 基本的に夜間休日の時間は確保されている。 | 当直医で判断・対応が困難な場合に主治医に連絡を取る際の判断にスタッフの判断能力でかなり差が出る。 |
50代男性・当直医制 | 主治医制ではあるが、夜間・休日は当直医に任せられる | 特にないが、受け持ち人数に偏りができる |
40代男性・当直医制 | 主治医が複数体制だと、結局は担当する患者数が増えて大変だし、いろいろ決めたりする際に相談しないといけない時間が出てくるので意外と大変ではないか。主治医が一人だと確かに大変だが、治療内容は一貫しているし家族とのトラブルも少ない気がする。 | 休日に遠出をした際の緊急呼び出しが大変負担になる |
50代男性・当直医制 | 夜間日祝日は日当直医が対応してくれる | 内科分野で自分の専門外の患者も、専門に回せず自分が主治医を続けなければならない点 |
50代男性・当直医制 | 夜間、休日は基本的には当直医が対応することになっているため、主治医が呼び出されることは稀 | 主治医から日当直医への患者さんについての申し送りが不十分な時がある |
29歳以下女性・当直医制 | オンコールがないこと。 | 1人でみるので責任は大きい |
30代男性・当直医制 | 休日は基本的には当直が対応する | 主治医の負担が大きいこともある。 |
50代男性・当直医制 | オンとオフがはっきりしているので、しっかり休むことが出来る点が良いです。 | 主治医の方針が分からない場合があり、急変時の対応が不明のことがまれにある。 |
50代男性・チーム主治医制 | いわゆる主治医制ではないところ | 宿直医師の業務範囲についての理解不足 |
消化器内科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
40代男性・主治医制 | 責任感を持つことができる | 夜間等の対応への時間の拘束 |
30代男性・主治医制 | 患者は主治医に診てもらうので意見が1つで悩まないだろう | やはり夜間休日もすべて対応されて当たり前と思われるのは大変な面もある。 |
50代男性・主治医制 | 主治医としての主体性が保持される | 複数の医師による合議が必要な場合がある |
30代男性・主治医制 | 自分の考えで治療できる | 夜間看取り、見送りまで対応しなければならない |
30代男性・主治医制 | 診療方針のズレが出にくい | 夜間休日もソワソワ過ごしがち |
50代男性・当直医制 | 夜間休日はおおむね休める | 若い医師への負担が大きい |
40代男性・当直医制 | 夜間・休日がゆっくり休めるようになりました。 | 当直医体制のため、発熱しても抗生剤を使用せず解熱剤で経過観察となる。そのほか、必要な処置がされないことが多い。 |
40代男性・当直医制 | 患者及び患者家族視点で、誰に話をすれば良いのか明確 | 自分不在の時は、思惑と違う対応になることがある |
40代男性・当直医制 | 当直医が夜の業務をこなしてくれる | 当直医によっては主治医に確認を、となって結局主治医が夜も呼ばれることがある また、外勤の当直医に夜間救急を委託するとさらにその傾向が強い 外勤の当直医が新規に入院させた症例につき、内視鏡や手術等の処置が必要かどうかの判断も含めてオンコールの(当直ではない)医者がよばれることがあり、結局、当該の案件で病院にいる事実のために、別件の夜間の主治医業務を依頼される場合がある |
呼吸器内科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
40代男性・主治医制 | 自分の判断がしっかりと治療方針に反映される | 夜間、休日にリラックスできないことが多い |
30代男性・主治医制 | 簡単なことであれば当直医対応となる | 当直医で対応できるようなことも看護師によっては時間問わず主治医に連絡になってしまう |
50代男性・当直医制 | 夜まで病院に行かなく良いこと。 | 当直医が他の医者が主治医の患者さんを十分には理解できない場合があること。 |
30代男性・チーム主治医制 | 当直帯は当直医が対応してくれているので当直帯はフリーとなっている。 | 患者をみんなでみているが、ICや方針は必ず外来担当主治医が担当し、病棟医のみ先生と比較すると外来担当医(病棟もみている)の負担が大きい。 |
循環器内科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
40代男性・主治医制 | 責任感を持って診療にあたっている人が多い | アルバイとで主治医不在の時間帯がある |
50代女性・当直医制 | 患者の臨床経過がよくわかる | 担当医の負担が大きくなる |
30代男性・当直医制 | 一応休みの日にはよばれないようになっている。 | 主治医の責任感がないと他の医師に業務が回ってくる。 |
50代男性・当直医制 | 主治医不在時はほぼ当直医が対応していただき、主治医へ連絡がくることは少ないので有難い。 | 主治医の治療意向が伝わりにくい面はある。 |
30代男性・当直医制 | 治療方針や退院含めた今後の方針を自分で決定、実行できる点 | 手術や不在日などの対応が難しい点 |
40代男性・複数主治医制 | 休日や夜間は完全当直制なので当直医がチームに関係なく全ての対応をします。 | 入院中の全患者を把握する必要がある。方針が分からない時は対応が遅くなる事がある。 |
腎臓内科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
30代女性・主治医制 | 患者の状態が変わったときに連絡が来ること | 常に電話を気にしてなければいけないこと 必要とあらば、出勤しなければならないこと |
40代女性・当直医制 | ONとOFFが比較的はっきりしているので、仕事以外の時間を充実させやすい | 夜間や休日は担当患者の状態を把握できていないことに罪悪感、不安感がある |
60代男性・当直医制 | 休日や夜間は当直医が対応して頂け、有り難いです。 | 複数制が良いと思いますが、スタッフがふえません。 |
神経内科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
30代男性・当直医制 | 夜に電話がかかることがほぼないこと | 自分が当直だった場合、主治医に連絡しにくいこと |
40代女性・当直医制 | 土日のみ当番医師対応で、平日夜は主治医対応。休もうと思えばいちおう土日は休める。 | 外来が週3日あり、その日は病棟の業務が滞りがち。外来終わって夕方病棟に行くと午前中から発熱してますと看護師に言われ残業。今まで大事に至らなかったのが不思議。休日当番医も場当たり的な対応になりがちで完全に任せるとかえって気が休まらないことも。 |
40代男性・複数主治医制 | 複数医師の合議で診療が進められる点。 | 当直医はいるものの、実質主治医グループが時間外も診療を担当しなければならない点。 |
30代男性・複数主治医制 | 後期研修医も含めて、複数で担当している | 夜間、休日も主治医の対応を求められる |
内分泌・糖尿病・代謝内科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
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29歳以下女性・主治医制 | 内科当直が1人のため、主治医に電話がいくのは当直医の負担が減る。 | ただの処方や処方後の承認についても主治医に連絡がくるため、二度手間。当直医に連絡すれば2分とせず終わる内容なのに連絡がくるため無駄が多い。 |
30代男性・当直医制 | 患者やその家族との信頼関係が築きやすい。 | 長期休暇がとりにくい。突発的な休暇もとりにくい。 |
30代女性・当直医制 | 夜間、休日はある程度当直医に任せられる。 | 専門外の当直医の場合は、結局対応できず連絡がくることも。 |
40代男性・複数主治医制 | 合議で方針を決めることで教育に向いている | 患者さんからの責任者の見えにくさ、研修医の当事者意識の希薄さ |
一般外科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
40代男性・当直医制 | 休みや自分の時間が確保される点 | 当直医によって診療・対応の力量にばらつきがある点 |
30代女性・主治医制 | 患者が一貫した治療を受けられる | 主治医以外が緊急対応しにくい |
50代男性・主治医制 | 患者を深く理解している | まれに時間外の対応が要る |
40代男性・主治医制 | 患者や家族との信頼関係が築きやすい。 | プライベートが削られる。 |
消化器外科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
40代男性・当直医制 | 一人主治医制なので他人の干渉をうけずに自由にできます。 | もしかして間違った治療方針をたてていないかたまに心配になることがあります。 |
50代男性・チーム主治医制 | チーム全体で患者を把握できる 一人の主治医が不在時にも柔軟に対応できる | 責任が分散されることがある |
40代男性・主治医制 | 患者の状態を詳しく把握している | 主治医への負担が大きい |
30代男性・当直医制 | 休日を家族と過ごせる(遠出出来る) | 医師のレベルによっては、余計悪くなり、後に仕事が増える |
40代男性・チーム主治医制 | チーム制のため、休日は患者の状態にもよるが完全offも可能 | 特にないが、休みの日に自分の患者に何かあった時に引け目を感じる。 |
30代男性・複数主治医制 | オンオフがしっかりしている | 連携がとれていれば問題ないがとれていない場合は問題ある |
40代女性・当直医制 | 夜間休日はdutyでの診療は必要はないこと。 | 病棟医のレベルによって患者の状態が悪化することがある |
40代男性・チーム主治医制 | 用事や外勤があっても対応できる。 | 自分の考えとは違う対応が取られることがある。 |
脳神経外科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
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40代女性・当直医制 | 夜間休日は当直が対応してくれる。 | 主治医性だと負担が大きい。 |
40代男性・当直医制 | 主治医の休息時間が確保できる | 若手医師の患者への思いが軽くなっているように思われる。 |
40代男性・主治医制 | 看護師他スタッフがきめ細やかに対応してくれる | コミュニケーションが取れていない看護師リーダーが担当につくと大変 |
30代男性・複数主治医制 | 外勤に行くときに他の医師に対応をお願いできる。 | 複数主治医であり、医師の数が多い分、需要と供給のバランスが崩れており、給料が安い |
泌尿器科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
40代男性・複数主治医制 | 複数人で担当しているので対応しやすい | 3人体制なので3人揃って研究会出席が難しいことあり |
29歳以下男性・チーム主治医制 | 夜間、休日はオンコール体制なのでオンオフがある。 | 病棟担当していない医師が主治医の場合判断に遅れる事がある。 |
40代男性・当直医制 | 夜間は当直医対応なので、呼び出されることがまずない。 | 主治医不在時に治療方針がぶれる恐れがある。 |
50代男性・チーム主治医制 | 主治医が毎日回診するので、患者は安心して、心を開いてくれる事が多い。 | 休日でも、患者からの指名で、呼び出されることがある。 |
整形外科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
30代男性・主治医制 | 自分が患者の状態に対応した指示を夜間でも問い合わせが来れば可能な点。 | 夜間、土日にも重症患者がいる際には全く心が休まらない。 |
30代男性・チーム主治医制 | 自分が休日や外勤日でも業務がスムーズに進む点 | 自分が不在な際に考えとは異なる方向に進むときもあること |
30代男性・主治医制 | 専門科に進んでしばらくは主治医制の方が予後などの流れを経験できるので後々の為になる。 | オンオフのメリハリが無い。結局ダラダラとした働き方、休み方になり非効率的。 |
40代男性・当直医制 | 夜間休日はとりあえず当直医で対応してくれる。 | 他科の患者の件でも、当直医が対応せざるを得ないことが多い。 |
29歳以下男性・当直医制 | 休日夜間の対応はほとんど当直医がしてくれる。 | 手術中、外来中は病棟対応が後手になる。 |
30代男性・当直医制 | 治療状況は詳しくわかる。 | 同じ科の医師が当直してない場合は呼ばれる |
40代男性・当直医制 | 受け持ちでない患者に関わらないで済む | ウマが合わない患者と主治医交代しにくい |
30代男性・複数主治医制 | 治療方針が統一しやすい | 下の業務負担が大きい。 |
形成外科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
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50代男性・複数主治医制 | 自分が登院できないときに助かる。 | 責任の所在があいまいになる。 |
40代男性・チーム主治医制 | 夜間・休日にまず呼ばれない。 | 下の先生の雑用が多すぎる。 |
50代男性・主治医制 | 問題が生じた時にすぐに解決できる。 | 早朝でも、深夜でも電話がかかってくる |
眼科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
40代男性・当直医制 | 以前、主治医制で実質休みがなかったが当直医制になりリフレッシュできるようになった。 | 手術対応が必要な場合は術者が限られる |
30代女性・チーム主治医制 | 当番でない時は休めます | 大学から派遣の常勤医はやる気ない |
30代女性・当直医制 | 基本的に当直医が夜間など主治医不在時に対応してくれる所 | 土日でも病状の安定していない患者がいると主治医が回診に行く必要があること。 |
皮膚科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
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40代男性・主治医制 | 一貫した治療ができる点。 | 医師の休日出勤などが多くなる点。 |
30代男性・チーム主治医制 | 2人体制で交代で休暇を取れる | 経験年数が違い、重症患者は任せられない |
50代女性・主治医制 | 良いところはないが、診療科の医師がひとりしかいないので仕方がない。 | チーム主治医性がよいと思う。 |
30代男性・当直医制 | 夜間、休日中の呼び出しがないので、しっかり休暇を含めたプライベートの予定を立てられる。 | 主治医がしっかりした病棟管理を行っていない場合があり、その尻ぬぐいをさせられることがある。主治医の倫理観が問われる。 |
30代女性・チーム主治医制 | チームで診療しているため、誰かが対応できなくても他の医師がカバーできる | 複数人いるため、決定事項があればそのたびに全員に周知させる必要があり、大変 |
耳鼻咽喉科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
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50代男性・当直医制 | 責任の所在が明確である | ある程度の寛容さがないとDrが追い込まれてしまう |
30代男性・チーム主治医制 | 全員で全患者をみていること。 | 夜間の呼び出しは院内で他科当直いで対応できそうであれば、呼ばないでほしい。 |
30代男性・主治医制 | 抜け目なく医療がおこなえる | 気を抜いてビールも飲めない |
精神科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
60代男性・当直医制 | 主治医制と病棟医制が混在している。主治医制の方が病棟と外来で切れ目なく担当できる。患者との関係が構築しやすい。大切。 | 救急病棟では病問制を敷いている。病棟の性質上仕方ない。 |
30代男性・当直医制 | 夜間休日は連絡がまずないので安心できる | 自分に何かあるときに代わってもらいにくい |
50代男性・当直医制 | 休日夜間はある程度のことなら当直医が対応してくれる | 急変時は電話で呼び出される |
40代男性・当直医制 | 夜間休日に緊急の呼び出しがない | 自分1人で判断が難しいことがある |
40代男性・当直医制 | 病棟全体を管理医師が把握できる | やや病棟組織が閉鎖的となる |
30代男性・当直医制 | 時間外はよほどの事が無い限り主治医は連絡がない | 主治医のみで対応することが多く、特に若手は負担となっている。 |
40代女性・当直医制 | 時間外にはほぼ働かなくてよいところ。 | 臨時で主治医が休んだ場合などに対応が遅れる場合があること。 |
30代男性・当直医制 | 特に無いが、精神科の特殊性からやむを得ない | 休日でも呼び出しに応じる必要はかなりある |
30代男性・複数主治医制 | ある程度患者の把握ができる | スタッフ医師の負担が大きい |
50代男性・当直医制 | 医師不足の現況では、この体制がベストだと思います。 | 主治医に権限が集中しすぎてしまいがち。 |
小児科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
50代男性・複数主治医制 | 患者はいつでも尋ねることができるので安心している | 患者への説明が医師によって異なることがある |
40代女性・当直医制 | 夜間は基本的にフリーになる。 | チームでみていないと、主治医に何かあったときに患者さんのことを把握するのが大変。 |
40代男性・主治医制 | 主治医に責任の自覚が出る | 主治医に能力がない場合、トラブルが起きる |
40代男性・チーム主治医制 | 完全なフリータイムがあるので、学会などに行きやすい。 | 医師の話し方で、同じことを話しても違うメッセージとして理解されることがたまにある。 |
30代男性・チーム主治医制 | 当番以外の医師は、深夜は休める | 結局、若者のバックアップは上級医がしなくてはいけない(致し方ないが) |
産婦人科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
60代男性・当直医制 | 主治医がハッキリしているので患者さんは安心 | いつも主治医が対応出来るとは限らない点 |
30代男性・当直医制 | 夜間はオンコール当番でなければ基本は呼ばれない | 無痛分娩は主治医性なのでキツイ |
30代女性・当直医制 | 休日は基本的に当直医が対応 | 主治医の指示が不明瞭な時がある |
麻酔科
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
50代男性・当直医制 | 主治医の負担が軽減される。 | 患者の経過が夜間休日に変化すると主治医が病態把握できないことが有りうる。 |
50代男性・主治医制 | 患者の状態がよくわかる | 24時間365日拘束されている感がある |
50代男性・当直医制 | 役割分担がはっきりしている。 | 主治医でないと把握できていないところがある。 |
救命救急
回答者の属性 | 現在の体制のメリット | 現在の体制のデメリット |
---|---|---|
30代男性・チーム主治医制 | 自分ひとりですべてを負わなくてもよくなり、休みの日にわざわざコールがくることもない。 | 責任の所在があいまいになり、治療が先伸ばしになることがある。 |
30代男性・チーム主治医制 | シフト制のため休みの時は基本呼ばれない | 本当の主治医はだれ?と病棟がこまることがある |
40代男性・複数主治医制 | ある程度、役割分担ができている | 全て一人で片付けられる医師は一人のみ |
30代男性・チーム主治医制 | 複数の医師の目が入るためエラーを防げる。一人の負荷が減る。 | 毎日方針の擦り合わせが必要。担当医ごとに方針やニュアンスが違うと不信感を持たれることもある |
以上のアンケートからは、主治医制・当直医制・複数主治医制・チーム主治医制それぞれにメリットデメリットがあることや、診療科による事情の違いも見えてきます。
医師の働き方改革などを背景に、最近では複数主治医制やチーム主治医制へ移行していこうという動きが多くなっていますが、単に「移行すること」を目的化してしまうと、予期していなかった問題に悩まされることも考えられます。
上記のメリット・デメリットを踏まえた上で、自身に当てはめた場合に今後どのような体制の下で働いていきたいか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
<注>
[1] 「救急医だから出来る10の事」日本救急医学会「救急医を目指す君へ 救急科専門医・専攻医のなり方など情報サイト」より。