新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う自粛の中で、医師の就職・転職活動においてもオンラインで面談・面接をする場合が増えてきました。
就職・転職活動のオンライン化について医師はどのように考えているのでしょうか?2020年8月に実施した医師1,846名のアンケート結果を紹介します。

目次
就職・転職での面接や面談のオンライン化に関する医師の回答
就職や転職活動における面談・面接のオンライン化についての意見を医師に調査した結果は下図のようになっています。
「状況によってオンラインで実施する場合と、直接顔を合わせて実施する場合があってよい」という回答が最も多く、49%を占めている状況です。
「全てオンライン化するのがよい」(10%)と「多くの場合でオンライン化した方がよい」(27%)で合わせて37%の医師が面談・面接のオンライン化をした方がよいと考えている状況です。
一方、「全てオンラインでなく直接顔を合わせて実施するのがよい」(2%)と「全てオンラインでなく直接顔を合わせて実施するのがよい」(12%)を合わせて、14%の医師は面談・面接では直接顔を合わせた方がよいと考えている結果となっています。
それぞれの医師は、どのような考えからこのように回答したのでしょうか?以下で医師の自由回答を見ていきます。
就職・転職活動のオンライン化について「状況による」と回答した医師の理由
「状況によってオンラインで実施する場合と、直接顔を合わせて実施する場合があってよい」と回答した医師の自由回答では、以下のようなものがありました(一部紹介)。
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- 顔を合わせると安心できる面があるが、反面移動などの時間がもったいない気がする (50代女性、眼科)
- 直接会ってみないとわからない雰囲気もあれば、条件提示は対面よりもオンラインのほうがはっきり言いやすい面がある (50代男性、麻酔科)
- オンライン化で幅が広がるが、面接などは直接顔を合わせたほうがどんな人物かがわかりやすいと思う。 (30代男性、皮膚科)
- 面談などはリモートでもよさそうだが、実際に会わないとわからない部分もあると思う。 (40代男性、消化器外科)
- どちらにも利点がある。だいたいオンラインで可能そうだが、空気感など言語化できない部分で、直接会った方がよくわかるケースもある。 (40代男性、一般内科)
- 条件の交渉はオンラインでよいと思います。 (40代男性、消化器外科)
- 面談に時間や距離など不都合がある場合はオンラインで出来れば (50代女性、放射線科)
- 一次審査など、ある程度の篩い分けにはオンラインの活用も良いと思うが、最終的に採用する場合、雰囲気、立ち振る舞いなど、モニター画面では見えない部分が意外と重要であるため。 (30代男性、救命救急)
- 状況次第で考えればいいと思う (50代女性、心療内科)
- 距離を取ってでも対面した方が人となりや職場の雰囲気が伝わるためできれば対面が望ましいが、状況に応じてオンラインの利用も認めるべき。面談機会そのものが無くなるよりは、オンラインでも実施が必要。 (30代女性、健診・人間ドック)
- 可能な範囲はオンライン化が望ましい。 (50代女性、健診・人間ドック)
- 簡略化できるものはどんどん簡略化した方がよい (40代女性、婦人科)
- オンラインで済むならそれでよい。 (70代男性、健診・人間ドック)
- なるべくオンラインですまし、最終面接くらいで本人と面談すればよい。 (60代男性、一般内科)
- オンラインを原則とし、個人情報などが係る場合は面接がよいと思う。 (60代男性、整形外科)
- オンラインのメリットはあるものの、直接会って話をしないと伝わらないこと、スムーズにいかないことも有ると思われる。 (30代男性、精神科)
- 接遇、マナーなど、実際に対面しないとわからない部分がある (50代男性、消化器外科)
- オンラインでその人となりが全て分かるわけではないと思う。初期の段階での面接はオンラインでも良いとは思うが、それ以降の面接については、直接対面が望ましいと考える人もいるかもしれない。 (40代女性、婦人科)
- 面談はある程度人となりを見る必要があり、直接会った方が細かいしぐさなど見れるため、 (30代男性、腎臓内科)
- 課題や質疑応答はある程度オンラインの方が効率が良いが、オンラインだけでは非言語コミニュケーションがとりづらく、人となりをみるには対面も必要である。 (40代女性、精神科)
- 相手の人となりを把握するのは、オンラインでも直接対面でもそれほど変わらないと思われるが、現場の雰囲気は、その場に行かないとわからないところもあるため。 (40代男性、神経内科)
- 職場の雰囲気を感じる(感じてもらう)必要はあると考えられるため、直接面識を持った方が良いと思われるが、別の機会に見学等しているのであればオンラインでも良いかと思う。雇用者側から考えると直接面談できる方が、不安は少ないと考える。 (30代女性、精神科)
- 面接はオンラインで十分だが、施設見学には意味があると思う。 (40代男性、形成外科)
- 面接を受けるものとしては、職場の雰囲気などが知りたいから (30代女性、在宅診療)
- 遠方の場合はオンラインが便利だが、病院の雰囲気は実際見てみる方がよく分かる (40代女性、乳腺外科)
- 初対面の人間とはリモートでは会話のタイミングのズレや細かい表情が見えずらかったりでやりにくいです。 (30代女性、健診・人間ドック)
- オンラインでは緊張せずに話すことができても、直接だと緊張して話せない人もいるかもしれないため (30代女性、産科)
- 実際に会ったときの感覚と、オンラインで面談したときの感覚の違いがある。 (40代男性、消化器外科)
- 実際の手技を見てみたいから。 (40代男性、腎臓内科)
- オンラインを希望する人と直接対面を希望する人がいると思う為。 (40代女性、内分泌・糖尿病・代謝内科)
どちらも良し悪しがある
オンラインと対面を使い分けられるとよい
可能なところはオンライン化した方が良い
対面でないと人柄などがわかりづらい
職場の雰囲気は現地に行かないとわからない
その他
就職・転職活動の面談・面接は「オンライン化した方がよい」と考える医師の理由
就職・転職活動の面談・面接について、全てあるいは多くの場合オンライン化した方がよいと考える医師の理由としては以下のような自由回答(一部)がありました。
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- 時間的、空間的な無駄が減る (60代男性、脳神経外科)
- 面談時間、移動時間などを考えるとオンライン化は有用だと感じる (30代女性、皮膚科)
- 時間の調整がしやすいため (40代男性、整形外科)
- 直接面談と比べて、時間が節約できるため。 (40代男性、泌尿器科)
- 訪問するのは双方の時間の無駄 (50代女性、皮膚科)
- 忙しい中でも、遠方の施設への面談・面接が可能になるので。 (50代男性、麻酔科)
- 会場までの移動が大変だから。 (40代男性、皮膚科)
- 労使双方のコスト面のメリットに加え、居住地による格差を緩和できるから (30代男性、放射線科)
- 移動手段など困難な人もいると思われるため (30代男性、整形外科)
- 遠くの場合はオンラインでいいと思う。 (40代男性、整形外科)
- 感染リスクを減らすため 効率が良い (40代男性、整形外科)
- 現時点では、なるべく人との接触を避けたほうがよいと思われる。 (40代男性、病理診断科)
- 密を避けられるため。 (30代女性、小児科)
- 対人接触を避けることができる、移動の手間が省ける (50代女性、美容)
- 感染が収まるまでの措置としてだが、時間の節約にもなると思う (50代男性、脳神経外科)
- 施設見学を除けば、面談の内容はオンラインでも同じ (50代男性、一般内科)
- 面接などはオンラインでも特に支障がないように思うため。 (30代女性、小児科)
- 実際会わなくても会話をすれば人柄や能力が分かると思うので (30代女性、耳鼻咽喉科)
- 患者を診療するのとは違い、履歴書だけでは分からない必要な相手の情報は、実際に対面しなくてもオンラインでほぼ得られると思われるため。 (40代男性、腎臓内科)
- オンラインでも相手の表情はわかるから (50代男性、一般外科)
- 近場の転職なら直接面談もあり。マッチングは全国の公平性保つためにすべてオンライン面接とすべき。 (60代男性、一般内科)
- オンラインの方が個性などがよくわかる (50代男性、麻酔科)
- コロナの影響でオンライン化を試してみて、実際に全てオンライン化できているので。 (40代男性、循環器内科)
- 何度も出来るし、ハードルが低くなる。 (70代男性、老人内科)
- 数分間面接をしたところで本質はわからないので、オンライン面接でも十分と思う (30代女性、腎臓内科)
時間や費用の面でのメリット
遠方でも面接しやすい
感染リスクの低減
直接面接する必要がない
その他
就職・転職活動の面談・面接は「対面が望ましい」と考える医師の理由
就職・転職活動の面談・面接について、全てあるいは多くの場合で直接顔を合わせた方がよいと考える医師からは、その理由として以下のような自由回答がありました(一部紹介)。
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- 人間性を観るには実際に会う必要がある。 (50代男性、麻酔科)
- 単純に業務能力のみを必要とするならば面接は不要 人間性社会性を必要とするなら対面面接は必須と考える (50代男性、一般内科)
- 直接対面でも人物のすべてを評価することは困難であるが、オンラインではわかりにくく、対面して初めてわかるような好印象な部分や癖、雰囲気があるから。 (40代男性、産科)
- 採用側が対面での面接を要しないという判断なら構わないが、人と接する業務をするのに、直接会った印象は重要かと考えます。 (30代男性、精神科)
- 一緒に働くならリアルで会わないとわからないこともある。 (50代女性、健診・人間ドック)
- 場合により10年以上勤務するのに、現場確認が必要。 (50代男性、麻酔科)
- 施設見学も必要である (50代男性、消化器外科)
- 面談そのものはオンラインでもいいかもしれないが施設の雰囲気等は実際に行ってみないとわからないと思うし、実際に施設に行くとなればオンラインで面談をする意味が薄くなるため。 (30代男性、眼科)
- 実際に会ってみないとわからない職場の雰囲気などがあり、転職はオンラインの画面上で判断するにはリスクが高いと思います。 (40代女性、消化器内科)
- 病院で面接する場合、病院の雰囲気を知り、見学することも可能。 (60代男性、皮膚科)
- 最終的に職場では顔をあわすことになるから。 (60代男性、一般外科)
- オンラインだと意図が伝わりにくいことがあるかもしれないから (40代男性、循環器内科)
- オンラインだけは失礼 (30代男性、眼科)
- 勤務する場所は実際に自分で足を運びたい (40代男性、皮膚科)
- コミュニケーションエラーが生じやすいから (40代男性、呼吸器外科)
対面でないと相手の人となりや印象を判断できない
職場を実際に見学することが必要
その他
オンラインでの面談や面接は、遠隔地から参加しやすく時間や費用の面でのメリットがある一方、人間性や職場の雰囲気など非言語的な情報が得られにくいというデメリットを感じる医師も多いようです。
ただ、実際の就職・転職活動では医師側の希望や事情だけでなく、採用する医療機関・企業側の希望や制約も反映されていきます。
新型コロナの感染リスクなど取り巻く状況も変化しています。今後はオンラインでの面談や面接の可能性なども含め、納得のいくキャリアを実現するために場合によっては柔軟な対応が求められることも、想定しておくと良いのではないでしょうか。
【参考】回答者の属性
調査概要
調査内容 | 「就職・転職活動における面談・面接のオンライン化について」-医師の業務のオンライン化に関するアンケート調査より |
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調査対象者 | 株式会社メディウェルに登録している医師会員 |
調査時期 | 2020年8月10日~2020年8月28日 |
有効回答数 | 1,846件 |
調査公開日 | 2020年12月15日 |
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