「家庭を持ったため収入をアップさせたい」
「資格取得を終えたため、さらに技術を磨くことができる医療機関で勤務したい」
「定年間近で体力面に不安があり、長くゆったり働ける勤務先を探したい」
医師が転職を考える理由は、生活環境やキャリアの段階に応じた将来設計などと深く関わっています。
そういったライフステージやキャリアの節目を迎える時期は医師によりさまざまですが、医師年数や年齢による傾向はあるのでしょうか。
メディウェルの会員医師1,205人への転職に関するアンケート結果などから、年齢別の医師の転職事情をまとめました(回答者の属性)。同世代の医師が抱えている悩みや、今後のキャリアを考えるための参考情報をお伝えします。

目次
- 1. 初めて転職する医師が多いのは30代、2回目以降の転職が多いのは40代
- 2. キャリアの節目となる30代に退局し、クリニックに転職する医師が多い傾向
- 3. 「年収・待遇面の不満」を理由に転職する医師、30~50代で最多
- 4. 最も高い年収を得ているのは40~60代の男性医師
- 5. 年齢別の医師が転職する背景と譲れない条件とは?転職体験談も
- 5-1. 29歳以下の医師の転職事情
- 5-2. 30代医師の転職事情
- 5-3. 40代医師の転職事情
- 5-4. 50代医師の転職事情
- 5-5. 60代医師の転職事情
- 5-6. 70代以上の医師の転職事情
- 6. まとめ
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初めて転職する医師が多いのは30代、2回目以降の転職が多いのは40代
アンケート調査によると、転職経験がある医師は72.4%でした。転職支援サービスを提供しているメディウェルによるアンケートであることを踏まえても、医師にとって転職は身近な選択肢であることがうかがえます。
転職したことがある医師の中で最も多かった転職回数は「1回」(27.5%)でしたが、複数回以上転職している医師も44.9%に上りました。
また、転職を経験した医師の転職回数の中央値は2回でした。
医師の転職回数の世代別内訳を見てみると、「0回」の割合の変化が最も大きかったのは29歳以下から30代にかけてで、75.0%から42.3%まで減少しています。このことから、30代ごろに初めて転職する医師が多いことがうかがえます。
また、「2回」以上の転職回数の割合に着目すると、30代から40代にかけていずれも増加幅が大きくなっています。
各世代で最も多い転職回数の割合を見てみると、30代以下では転職回数「0回」、40代~50代では「1回」、60代以上では「2回」となっており、年齢が上がるにつれて転職回数が増えていく傾向が明らかになっています。
60代以上では「6回以上」と回答した医師が1割を超えており、転職回数が多い層でさらに次の転職に踏み切る医師が目立っています。
30代で退局し、クリニック勤務などに移行する医師が多い傾向
医師は年代別にどのような勤務先に勤めているケースが多いのでしょうか。今回のアンケートに回答した医師の年代別および勤務先別の割合をみたところ、次のような結果が得られました。
大学病院に勤務する医師の割合が多いのは29歳以下(28.1%)、30代(19.8%)の若手世代です。専門医やサブスペシャリティなど資格取得のために医局に所属する医師が多いとみられます。
なお、今回の調査では大学病院以外の病院に勤務している医師について、医局派遣の医師と医局に所属していない医師を区別していないため、大学病院以外の病院に勤務する医師の中にも医局員が含まれています。
30代では、大学病院を含む病院に勤務する医師の割合が29歳以下と比べていずれも減少し、クリニックに勤務する医師の割合が大きく増えています。
資格取得やある程度の経験を積んだのち、医局を退局するキャリアを選ぶ医師が一定数いることがうかがえます。
また、40代以降では開業医の割合が徐々に増加しており、中堅以降の医師がスキルを活かして開業する傾向が見られます。
30~50代で「年収・待遇面の不満」を理由に転職する医師が最多
転職を経験した医師873人に対して聞いた前回の転職理由(複数回答)について、年齢別に傾向の違いを分析しました。
最も回答割合が高い転職理由を見ると、30~50代では「年収・待遇面での不満を感じたため」という理由が最多となっています。
結婚や育児により生活費や教育費がかさむ世代と重なっており、収入を重視する時期であることが推測できます。
また、29歳以下では「休息を取れず忙しい状態が続き心身の疲れを感じたため」が40.0%で最も多くなっています。60代以上では「勤務の時間的拘束が長いと感じたため」がそれぞれ17.8%(60代)と31.4%(70代以上)で最多でした。
29歳以下の世代では、回答数が少ないため数値に偏りが出ている可能性はありますが、長時間労働など激務をきっかけに転職を考える医師が多いことがわかります。
60代以上の世代は「年収や待遇面での不満」よりも「勤務の時間的拘束」を重視する傾向が見て取れます。
定年を迎えていく世代で、年収や待遇の変化よりも勤務時間を短くしてゆったり働くことを望んでいるのではないかと考えられます。
「家庭環境の変化」と回答した割合が比較的多かったのは30代(18.4%)、40代(17.4%)でした。結婚や出産・育児、さらに介護も始まる年代であり、年収や働き方を見直す必要が出てくる時期です。
「資格取得やスキルアップ」を挙げた割合が最も多かったのは40代(16.4%)でした。一般に専門医やサブスペシャリティの取得を終え、技術や自分の得意分野をより磨いていく年代だといえるのではないでしょうか。
「職場・医局での人間関係」を選んだ医師の割合が多かったのは50代(15.1%)と60代(16.7%)でした。生活環境の変化などがいったん落ち着き、自分の勤務環境について考える余裕が出てくるのかもしれません。
なお、患者などとのトラブルを理由に転職を考える医師は全年代で比較的少ない傾向が見られました。
医師の年代別にみる年収の中央値
医師の年代別の年収はどのような傾向があるのでしょうか。
2024年2月にメディウェルが会員医師1,955人に実施したアンケート調査によると、年収(アルバイト・副業含む)の中央値が最も高いのは40代から60代の男性医師で、年収の中央値は1,900万円でした。
逆に最も低かったのは29歳以下の女性医師で、年収の中央値は900万円でした。
退局し転職している医師が多い30代で年収の中央値が大きく上昇しており、男性医師では40~60代、女性医師では50代でピークを迎えていることがわかります。
【年齢別】医師が転職する背景と譲れない条件とは?転職体験談も
医師が転職する背景について、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
2023年度にメディウェルに会員登録した医師が挙げている転職理由や、転職時にこれだけは譲れないと考える条件をAIテキストマイニングツールで分析[※]し、年齢別の傾向を調査しました。
29歳以下の医師の転職事情
転職理由
29歳以下の医師から寄せられた転職理由の中では、「転科」や「臨床医」といったワードのスコアが高く算出されていました。
研修する中で忙しさや責任の重さを実感し、今後キャリアを進めていくことへの不安を感じている医師が多いことがわかります。
29歳以下の医師の多くは専門医などの資格取得を目指している段階にあり、キャリアの道筋がまだ定まっていないケースがほとんどです。
そのため、他の年代の医師に比べて、転科や臨床から離れる選択肢を検討する医師が多い傾向にあることがうかがえます。具体的には次のような意見が見られました。
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- 激務のため転科を考えている。現在の診療科が自分に合わない
- 長時間労働に疲れた。専門外領域に魅力を感じており、転科したい
- 臨床医を続けていく限界を感じた
また、「医局」や「医局人事」も上位に挙がっています。他の年代と違い研修中で入局前の医師も多く、修了後に医局以外の道を選びたいという意図で言及されているケースがあります。
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- 入局せずに専門医を取りたい
- 在籍中の科の医局には入りたくないので、後期研修先を変えたい
- 医局人事に疲れた時の備えとして情報を集めておきたい
転職する時に譲れない条件
29歳以下の医師が転職する時に譲れない条件として挙げた中で多かったのは「当直なし」の条件です。これは全ての年代で最もスコアが高い条件となっており、医師が共通して当直業務を避けたいと考えていることがわかります。
ただし、29歳以下では他の年代と比較して「条件によっては当直可」とする医師が多く見られました。
譲れない条件で当直に言及した医師のうち、「当直応相談」としている医師の割合を年代ごとに調べたところ、29歳以下は43.3%と最も高く、30~50代は20%台、60代は13.0%、70代以上は0.0%という結果でした。
また、「専門医」「指定医」など、資格取得を目指す医師が多い世代として特徴的なワードも見られました。この語群は30代でも共通して譲れない条件に挙がっています。関連して「指導」や「症例」といった語句もあり、スキルアップ面での環境を重視する傾向が分かります。
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- 専門医の取得ができて症例数が多く経験を積めること
- 指定医取得を目標としているので指導体制が整っている医療機関が良い
29歳以下の医師の転職体験談
過去にメディウェルで転職した29歳以下の医師の体験談を紹介します。
【体験談1】転科という選択肢で医師の仕事を諦めずに済んだ(29歳女性、形成外科)
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- 結婚を機に医局での激務を離れ、プライベートの充実を求めて転職活動を開始
- 医師年数が短く医師を諦めることも考えたが、形成外科の経験を生かせる皮膚科への転科を決意
【体験談2】命を預かる重責に、医師を辞めようとさえ思ったけれど…(29歳女性、眼科)
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- 長時間勤務で心身が疲弊。患者の命を預かるプレッシャーもあり転職を決める
- 健診未経験から成長できる医療機関と出会い、公私のメリハリがついた勤務を実現
30代医師の転職事情
転職理由
30代医師の転職理由では、29歳以下に比べて「医局」「医局人事」のスコアが高くなっています。
「給与」「給料」「過酷」などの勤務条件面に加え、頻繁な医局人事なども影響し、医局に不満を持つ医師が増えているものとみられます。
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- 大学での当直回数が多く、給与が安い
- 学会準備や雑務がだんだんつらくなってきた。収入も増やしたい
- そろそろ医局人事を離れて定住したい
- 意に沿わない転勤が多い
「医局」「医局人事」のワードは40代、50代でも高スコアとなっており、定年を迎えるまで医師が転職を考えるきっかけとなり続けていることがわかります。
また、30代医師の特徴的なワードとして「育児」「子育て」「子供」などが挙がっています。「家庭」「両立」といった語句から、変化を迎えたライフスタイルと医師業務との両立を図る目的もうかがえました。
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- 子どもが生まれたため転居を予定しており、働き方を見直したい
- 育休復帰後、0歳児育児と仕事の両立を目指したが職場の理解を得られず、勤務継続が難しくなった
- 子育てしやすい労働時間・労働環境を確保し、年収もアップしたい
転職する時に譲れない条件
30代の医師の転職時に譲れない条件を見ると、29歳以下に比べて「年収」の単語出現率が高くなっています。
家庭を持つなどして収入確保の必要性が増す世代であるほか、医師として数年間激務に従事し、業務に見合った年収を求める動きが出ていると考えられます。
また、29歳以下と比べて、30代では年収1,000万円~2,000万円と金額を明確に条件に挙げている医師が増えていました。
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- 年収アップしたい。子育て中に理解のある場所がありがたい
- 自宅から近い勤務先で、年収2,000万にできるだけ近い求人希望
- 子どもが小さく融通の利く勤務に切り替えたいが、今の年収1,700万円を維持したい
また、「クリニック」「産業医」というワードが挙がっており、病棟管理や救急対応などで時間外業務を強いられる可能性が低い転職先を選びたいと考えていることがうかがえます。
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- 産業医未経験の医師でも就職可能な職場を探している
- 時間外の呼び出しなどで疲弊。将来的な開業も見据えてクリニックを希望
- 子育てと両立できるサポート体制のあるクリニックを希望
30代の医師の転職体験談
過去にメディウェルで転職した30代医師の体験談を紹介します。
【体験談1】退局し臨床を続けたい…キャリアプランを立てながらの転職(37歳男性、神経内科)
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- 医局で研究員の道を歩むことに抵抗感。今後のキャリアの第一歩として転職を考える
- 夫婦ともに医師で激務のため、仕事と家庭を両立できる勤務条件を希望
【体験談2】企業へ就職し、“ゆっくりした生活”を満喫(36歳男性、放射線科)
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- 視力低下で読影業務を退職。オンコールや当直などの激務による疲れもあった
- 初めての転職で社医に。不安もあったが休日も確保でき、楽しい毎日を送れるように
【体験談3】子育て奮闘女医の決断 医局から一歩踏み出し美容の世界へ!(35歳女性、形成外科)
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- 子育てと仕事の両立に対する理解を得られず退局を決め、興味を持っていた美容外科の道へ
- 週3日勤務や時短勤務など、配慮ある転職先へスムーズに決定
40代医師の転職事情
転職理由
40代医師の転職理由でも、30代と同じく「医局人事」や「医局」のワードが高スコアとなっています。
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- 医局人事に嫌気がさした
- 医局に所属していると、今後のキャリアが不透明だと感じる
また、他の世代であまり見られていない特徴的なワードとして「スキルアップ」「将来的」などが挙がっており、キャリアの岐路に立って転職を検討する医師が多いことがわかります。
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- 開業前の準備をしたい。そのために必要な診療スキルを維持したい
- 自分のスキルをもっと生かせる職場を求めている
- さらにスキルアップするためロボット手術を習得したい
業務の過酷さについても、他の年代より具体的なワードが挙がる傾向があります。他の年代と共通している「労働時間」に加えて「労働環境」「働きにくい」「目まぐるしい」など、転職を考えている医師が労働環境の悪さに苦しんでいる様子が垣間見えます。
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- 現在の労働環境が過酷で心身を病んだ
- 長時間勤務や有休消化の強要など労働環境が劣悪で、スタッフが目まぐるしく入れ替わっていて不安
- 経営体質や労働環境の改善が見込めない
転職する時に譲れない条件
40代医師が転職時に譲れない条件として、「年収」「給与」「2,000万円」など、収入に関するワードが多く出ています。これは50代にも共通しており、いずれも働き盛りで医師が最高年収に到達する世代とも重なっています。
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- スキルを活かせる症例豊富な医療機関で、年収は1,800万円以上を希望
- 子どもが生まれたので退局し、年収2,000万円を目指したい
- 大学病院勤務が長い。年収1,600万円以上とゆったりした働き方を両立したい
30代以下、60代以上では年収以外の勤務条件を重視する声のほうが目立っており、年代によって差が出ているポイントだといえます。
40代の医師の転職体験談
過去にメディウェルで転職した40代の医師の体験談を紹介します。
【体験談1】40歳。指定医でない将来に不安を感じて(40歳男性、精神科)
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- 精神保健指定医を取得していない不安から、必要な症例が集まる医療機関への転職を希望
- 子ども2人の教育費のために年収維持を優先し、単身赴任を選択
【体験談2】病気ではなく、人生を診る~40代でスタートした医師のキャリアプラン(47歳女性、精神科)
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- 20代での闘病経験を経て医師を目指すも、経営優先の職場に嫌気がさして転職
- 目指すのは”患者目線に立った医師人生”。在宅医療の道で実現していくことを決意
【体験談3】転科する?それとも、今の専門でQOLを守る?(45歳男性、皮膚科)
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- 転職を機に、以前から気になっていた心療内科への転科を検討
- 40代から再スタートする大変さとやりたい仕事、どちらを取るかじっくり内省
50代医師の転職事情
転職理由
50代医師の転職理由では、30~40代に引き続き「医局人事」というワードが目立っています。「単身赴任」もスコアが高くなっており、長年医局人事に従うことで家族と離れて働いている医師も少なくない現状がわかります。
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- 医局人事を受け入れるかどうか迷っている
- 単身赴任中にケガをしてしまい、家族と暮らしたいと思った
- 単身赴任生活が長いため、家から通える勤務先を探している
挙がっている中で特徴的なのは「定年」「退職」「60歳」などのワードです。実際に定年を迎える60代よりは全体に占める比重が少ないですが、近づいてきた定年退職を意識して、年収確保や働き方の改善につながる転職を目指す傾向が見て取れます。
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- 現在の病院を定年退職予定だが、医局派遣で転勤が多く退職金は少ない見込み。定年後の収入を確保したい
- 60歳になるのを機に、週4回の勤務に移行したい
- 定年を迎えた後も常勤勤務できる職場を探したい
また、「体力的」や「年齢」といったワードから、身体の衰えを自覚し始める年代でもあることがわかります。労働環境を今よりも緩やかな条件にしたいという医師も多く見られました。
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- 救急や日当直といった業務が負担。医師としての自信もゆらいでおり精神的につらい
- 体調を崩し、現在の勤務内容がきついと感じる
- 労働時間が厳しい
転職する時に譲れない条件
50代医師が転職時に譲れない条件では、「救急」の単語出現比率が40代以下よりも高くなっています。体力的な懸念から救急対応を避けたいと考える傾向が、この数値につながっているものとみられます。
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- 老後でも働けるクリニックを希望、救急対応はなし
- 当直や救急オンコール対応は難しく、土日祝日は完全に休みがほしい
- 救急の当直は避けたい
50代医師の転職体験談
過去にメディウェルで転職した50代の医師の体験談を紹介します。
【体験談1】手術をしたい!50代後半・整形外科医の転職事例(58歳男性、整形外科)
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- 勤務先が一般病院から療養型病院となり、手術に携わり続けたい気持ちから転職
- 年齢的に難しい希望だと思っていたが、メディウェルへの登録から3週間で勤務先が決定
【体験談2】老後に備えて環境を変えたい(57歳男性、泌尿器科)
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- 定年を見据え、年収減を覚悟で勤務条件の緩和を優先
- 体力面の衰え、定年後の勤務先確保といった仕事への不安が一気に解消された
【体験談3】Uターンを契機に、神経内科へ転科。ゆったり勤務を実現!(57歳男性、脳神経外科)
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- 転居をきっかけに、ほぼ毎日出勤するようなハードな働き方を見直し
- 経験を生かした業務が可能で、年収も維持できる転職先に出会えた
60代医師の転職事情
転職理由
60代の医師では転職理由の中でも「定年」「退職」「閉院」のワードが高スコアでした。定年退職や自院の閉院は資格取得に並ぶキャリアの転換点であり、そういったターニングポイントを機に働き方を見直したいと考える医師が多い傾向にあります。
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- 現職を定年退職する予定。当直なしの勤務条件を探している
- 70歳くらいまで勤務可能な医療機関を検討したい
- 転職というよりは、定年後の再就職
- 個人のクリニックを閉院したので、別の老健施設などで働きたい
また、「院長」「理事長」といった勤務先の管理者もワードに挙がっています。人間関係、方針の違いなどを感じて転職の選択肢に目を向けているケースも見受けられます。
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- 治療に対する考え方が理事長と食い違ったため退職
- 経営トップが変わってから労働環境が悪くなってしまった
転職する時に譲れない条件
60代医師が転職時に譲れない条件の中では、「当直なし」「オンコール」など、ゆったりした勤務条件が重要視されています。年収よりも働き続けられる環境を優先したいと考える医師が多いことがうかがえます。
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- とにかく楽な勤務を希望
- 給与は問わないのでのんびり働きたい
- 年齢的に手術する体力もない。老健施設や老年内科でゆったり働ける求人を探したい
60代の医師の転職体験談
過去にメディウェルで転職した60代の医師の体験談を紹介します。
【体験談1】閉院後、休息期間を経て老健施設へ(65歳男性、内科)
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- 臨床現場への復帰を断念し、現実的な老健施設への転職にシフト
- じっくり1年間の転職活動で、納得・安心して働くことができる勤務先へ
【体験談2】老健希望から病院勤務へ「まだまだ行けますよ、先生」(64歳男性、内科)
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- 20年以上勤務した前職場の有料老人ホームとの契約が終了し、老健施設への転職を希望
- 「もし難しい時は系列の老健へ」の言葉に背を押され、病棟管理メインの病院勤務を決定
【体験談3】定年後、家族との時間を大切にするために(64歳男性、外科)
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- 定年後も働きつつ家族と過ごす時間を確保するため、当直なし・週4日勤務を希望
- 老人ホーム併設の入居者用クリニックでゆったり勤務と希望年収の両立を実現
70代以上の医師の転職事情
転職理由
70代以上の医師の転職理由では、「介護老人保健施設」「老健」といった具体的な勤務先名のワードが高いスコアとなっています。臨床よりも業務内容が落ち着いている勤務先でゆったり働きたいという思いがうかがえます。
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- クリニックを継承して引退するため、違う現場で働きたい
- 病院の勤務が多忙。ゆったり勤務したい
- 雇用期間契約満了となったため、次の勤務先を探している
転職する時に譲れない条件
70代以上の医師では、転職時に譲れない条件の中で「当直」に言及した医師の全員が「当直なし」を必須条件に挙げています。また、「後期高齢者」のワードも登場しており、高齢なために求人が見つかりにくい状況がうかがえます。
また、転職理由にも含まれていた老健施設での勤務や、週4日勤務といった穏やかな勤務条件が目立っています。
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- 収入は多くを望まないので当直はなし
- 後期高齢者の応募が可能であることを確認してほしい
- 老健勤務希望
- 当直なし、できれば週4日勤務
70代以上の医師の転職体験談
過去にメディウェルで転職した70代の医師の体験談を紹介します。
【体験談1】74歳での現場復帰(74歳男性、消化器外科)
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- 体調不良で民間病院の副院長を辞職。体調が安定したため、仕事復帰を決意
- 年齢的に諦めかけていた常勤医として、老人施設へ入職。コンサルタントによる条件交渉で、勤務開始時間の後ろ倒しやタクシー通勤なども実現
【体験談2】71歳開業医の今後。閉院しても一生医師 !(71歳男性、外科)
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- 診療所を一人で続けることが厳しくなり閉院。医師として働き続けるため転職活動を開始
- 医局人事と開業以外の経験がなく、勤務先選びや面接でのコンサルタントのサポートに感謝
【体験談3】負担少なく、長く働く…74歳の転職(74歳男性、脳神経外科)
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- 産業医の5年契約が切れるタイミングで、別の企業での産業医求人を探し始める
- 週4日、時短勤務などできるだけ負担少なく長く働ける条件を優先。休暇や給与も納得いくまで交渉
まとめ
医師が転職する理由や求めているキャリア像は、年齢や勤務状況、家族の状況などによって異なる傾向があります。
30代以下の若手医師は、激務に疲弊して転職に踏み切っているという意見が多く見られました。また、資格取得や臨床医以外の選択肢を検討するなど、将来のキャリアが定まっていないからこその動きもありました。
また、30~40代では結婚し子どもを持つ医師が増え、育児と両立できる働きやすさに加えて、将来のキャリアや安定した収入につながる職場を求める流れが見られました。
さらに50代以上の医師では、収入よりも長期的に働ける緩やかな勤務内容や条件を重んじる傾向がありました。
このような年代別の転職事情は、医師がキャリアプランを考える際の参考になる一面もあります。しかし、あくまでも一般的な傾向であり、実際に転職にいたるまでの状況には個人差があります。
転職活動を始めると決めた場合、生活や仕事の中で何を大切にしたいのか、自身や周囲の環境も踏まえて軸となる考えをしっかり持っておくことが望ましいです。
メディウェルでは、医師の転職支援を数多く手がけているコンサルタントが、キャリア相談や求人紹介などのサポートをご提供いたします。「こんな理由で転職しても良いのだろうか」「目指したいキャリアへの道筋が見えない」などお困りの際は、ぜひご活用ください。
【参考】回答者の属性
調査概要
年齢
性別
診療科
地域
主たる勤務先
※ユーザーローカルのAIテキストマイニングツールで分析( https://textmining.userlocal.jp/ )。
「スコア」は単語の出現回数と重要度を加味した値。頻度高く出現する一般的な単語と、調査対象のテキストによく出現する単語を認識し、テキストを特徴づける単語に高スコアがつくよう算出されている。
















































