民間病院と公立病院で医師の年収はどう違う?開設者別病院比較

病院の経営母体には様々な種類がある

 日本では約20万人の医師が給料を貰う勤務医として勤務しており、その大半が病院で働いています。しかし、一口に病院といっても、実態は様々です。そのため、どういう病院種別がどういう傾向にあるのかということを知っておくことは、今後勤務医が転職やキャリアを考える上で一つの参考になるといえるでしょう。

 病院の種別を語る際に良く用いられるのは、医療機能別(高度急性期・一般急性期・亜急性期・回復期・慢性期)、病床種別(一般・療養・精神・感染症・結核)、経営母体(開設者)別などですが、以下では主に病院の経営母体別に比較します。

病院の経営母体の種類と全国の病院に占める割合

 病院の経営母体(開設者)の種類としては、個人立、医療法人立、国立、自治体立(公立)、公的などがあります。この公的には日赤、済生会などが含まれます。よく民間病院といわれるのは、これらのうち、個人立の病院と医療法人立の病院を合わせたものを指します。

 それでは、どの経営母体の病院がそれぞれどれくらいあるのでしょうか。厚生労働省の平成27年の統計では、全病院のうち各開設者での構成割合は下図のようになっています。

【病院数】開設者別構成割合

 これを見ると、全国の病院の7割近くが医療法人立であることがわかります(ここでは自治体立、日赤、済生会などはまとめて公的医療機関とされています)。つまり、全国の病院の大半が公立ではなく民間の病院ということになります。

民間病院と公立病院ではどちらの方が年収が高いのか?

 大半の病院が民間病院というのが日本の病院事情ですが、公立病院に勤務する医師も当然います。それでは、民間や公立など、病院の経営母体の違いは勤務する医師にとってどのような違いをもたらすのでしょうか?ここでは、最もわかりやすい年収という観点から比較してみます。

 ここで利用するのは、厚生労働省の出している病院経営管理指標(平成26年度版)です。ここには勤務医の年収は実は載っていませんが、開設者別、病床種別に様々な経営指標データが載っており、その中に「常勤医師1人当り人件費」も入っています。「常勤医師1人当り人件費」は当然、常勤医師の年収に左右されますから、これを比較することで医師の年収も開設者別に比較できると考えられます。

 一例までに医療法人と自治体の一般病院(全床が一般病床)で「常勤医師1人当り人件費」を見てみると、医療法人立の民間病院(以下単に民間病院)で2,075万円に対し、自治体の公立病院(以下単に公立病院)では1,696万円となっています。つまり、一般病院においては民間病院の方が公立病院よりも381万円も医師1人に対して人件費をかけている(≒年収が高い)ということがわかります。

民間病院の方が公立病院よりも年収が高くなる理由

 なぜ一般病院では公立病院よりも民間病院の方が年収が高くなる傾向にあるのでしょうか?病院経営管理指標から読み取れることとして、2つの理由が考えられます。

 1つ目は、医師1人当たりの対応患者数です。医師1人当り外来患者数・入院患者数を比較すると、民間病院でそれぞれ5.74人、11.30人なのに対し、公立病院ではそれぞれ4.41人・8.37人となっています。つまり、民間病院の方が対応する患者数が多いことが、年収で上乗せされている要因になっていると考えられます。

 2つ目は、看護師の人件費率の違いです。民間病院では看護師の人件費率が18.1%なのに対し、公立病院では23.8%と公立病院の方が看護師の人件費率が高くなっています。常勤看護師1人当り人件費で見ても、民間病院で516万円に対し、公立病院で547万円となっていますから、公立病院で相対的に看護師にかける費用が多い分、医師にかけられる費用が少なくなっているといえます。

 ここまで、公立病院と民間病院の医師の年収の違いとその理由について病院経営管理指標から検証しましたが、これは公立病院と民間病院の違いのほんの一面を捉えたに過ぎません。年収や勤務の傾向は地域や診療科によっても異なってきますので、あくまで一つの参考として考えていただくことをおすすめします。

 自分にとってどんな働き方、どんな職場が合っているのか、今後のことについてお悩みでしたらメディウェルの地域専属のコンサルタントまで一度ご相談ください。地域の実情や今後の医療情勢も踏まえた中長期的な観点から医師のキャリアについて有益な情報を提供させていただきます。

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